4月19日から5月18日までの1カ月間、全国19都道府県のネットカフェ94店舗の聞き取り調査を実施し、
店舗からの回答や利用者からの情報があった93店舗中、約7割の65店舗で長期滞在者がいることが明らかになった。
ネットカフェ業界関係者では3年くらい前から問題になっていたという。 店舗での聞き取り調査で
「それらしい人は来ますよ。このあたりのお店をローテーションしているようで、何回かに一回来る人がいます」(千葉・津田沼駅前)
などの回答があった。
また、週に数日間宿泊しているケースでは、労働時間が長くて家に帰れずに利用している事例が多いが、
「ネットカフェに週1〜2回泊まる。他は友達の家にいく。1カ月前から家が無い。
仕事をするにも家を決めないといけないけど、借りる時の保証人がいない。父がガンのために働けないから、家を借りることもできない」(千葉・松戸駅前、39歳女性)
といった深刻な事例が見られる。
さらに、家が無く長期滞在しているケースでは、利用者の切実な声が寄せられた。
「家が無く、2年くらいずっとネットカフェに泊まっている。専門学校を出てテレビ局のアシスタントになったが、1日中働かされ、時給にしたら400円ほど。
心も体も疲れて退職した。次の仕事を見つけたけど収入が大幅に減り、アパートの契約更新のお金を貯金することができなかったために、
契約更新ができず、家を出ざるを得なかった。今は深夜にテレビ関係のアルバイトをしている。
夕方4時にネットカフェを出て朝まで働き、朝6時にネットカフェに帰ってくる毎日」
「月収は20万円ほどあるが、仕事が不安定なために、いつ収入がなくなるかわからず、アパートを借りようと思えない。
年金や国民健康保険の保険料は未払い。病気になったら友達に保険証を借りようかなと思っている。
親に心配をさせたくないので『アパートに住んでいる』。このネットカフェには同じようにずっと住んでいる人が30人くらいはいる。
20代から40代の人で、みんな日雇いバイト風の人」(東京・蒲田駅前、24歳男性)。
他にも、複雑な家庭環境や夫からの暴力、会社を解雇されて収入が無く家賃が滞りアパートを追い出された、といった
「やむを得ずネットカフェ暮らしをしている」事情がうかがえる。
ネットカフェでは漫画や雑誌、インターネットだけではなく「格差社会・日本の縮図」まで閲覧できるようになってしまったようだ。